皆さん、こんにちは。講師のにゃん次郎です。第9回目の今回からは株を売買するための基本についてを学んでいきます。今回はそのうちの「板情報の見方と注文方法の種類」について学んでいきます。
頑張るニャン。
板情報とは
ではさっそくですが、まずは以下の図1をご覧ください。
図1:板情報
これは何なんにゃん?
これは「板情報」(単純に板ともいう)と呼ばれるもので、気配値情報ともいわれます。この板情報からは、現在どの価格にどれくらいの注文が出されているのかを知ることができます。そのため、自分が売買する際にも大きく関わってきます。
見方がよく分からないニャン。
初めてなので、見方がよく分からないのは当然ですね。では、詳しくその見方について説明していきます。
板情報の見方と注文方法の種類
まず、板情報を読み解くには、注文方法の種類についても理解する必要がありますので、ここではその部分も合わせて学んでいきます。では、再び先ほどの板情報を見ていきますが、今度は板情報に解説をつけています(図2)。
図2:板情報(解説付き)
これなら理解でき・・・、う~ん、やっぱり慣れるまで時間が掛かるかもニャン。
そうですね。慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、実際に何度か取引すれば理解できるようになると思います。
細かい部分の説明については、図2の通りですが、左半分が「売り」関する情報の板で「売り板」と呼ばれ、右半分が「買い」に関する情報の板で「買い板」と呼ばれています。
なるほどニャン。
また、注文方法の種類ですが、株取引には代表的な方法として、自分が買いたい、もしくは売りたい価格を指定して注文を出す「指値(さしね)」という方法と、値段を問わず、今すぐ売買の注文を出す「成行(なりゆき)」という方法があります。
その他にも損失のリスクを最小限にするため、いくらまで下がったら「売り」などを指定する「逆指値(ぎゃくさしね)」もあります。
私は少しでも安く株を買いたいニャン。
その場合にはやはり「指値」の方法を使い、希望する価格に注文を出し、下がってくるまで待つというのがベストな方法となります。
私はそうすることになりそうニャン。
私も基本的には「指値」ですが、どうしても早く買っておきたい時には「成行」で注文を出すこともあります。
色々と使い分けるということだニャン。
では、「指値」と「成行」の違いが理解できたところで、再度先ほどの図2をみてみましょう。例えば527円のところに注目すると買い板に1,100という数字がありますが、これは527円で買いたい数が1,100株あるという意味になります。
そうすると、逆に530円にある7,500という数は、それだけ売りたい人が多いということなのかニャン?
図2の中では売りたい人たちの行列という表現で書いてはいますが、この板情報だけでは人数までは分かりません。極端な例でいえば、一人で7,500株の売り注文を出している場合もあれば、75人が100株ずつ売り注文を出している場合もあります。ちなみに楽天証券の場合は、スマホでは見れませんが、パソコン版のマーケットスピードという売買ツールでは、その人数も見ることができます。
なんとなくわかってきたニャン。ちなみに、図2の例の株価は結局いくらなんニャン?
実は図2の例は、アステリアという会社の6月5日の終値の板情報を基に作成しており、その終値である530円がこの板情報の株価となっています。ちなみに「終値(おわりね)」とは取引終了時の株価、一方、その日のスタートとなった株価の値は「始値(はじめね)」といいますが、始値は「寄付(よりつき)」とも呼ばれています。
なるほどニャン。あと、OVERとUNDERの部分も、もう少し解説してほしいニャン。
OVERとUNDERは、画面に入り切らない部分の合計数量です。ちなみにこれも例えば楽天証券では、パソコン版のマーケットスピードという売買ツールのフル板という機能で、東証銘柄のみ、全てを見ることができます。
ちなみにOVERとUNDERの数は、株を売買する際の心理面にも影響を及ぼします。OVERが多くてUNDERが少ないと、それだけ売りたい数が多いという売り優勢の印象を与え、逆にOVERが少なくてUNDERが多いと、それだけ買いたい数が多いという買い優勢の印象を与えます。
ただ、途中で逆転することも多々あるので、あまり惑わされないようにしましょう。
なるほどニャン。ちなみに成行のところはなぜ空欄なんニャン?
成行については、例えばよく売買されるような人気の銘柄では、朝の板情報や後場のスタート前の板情報などで見ることができます。
また、市場が開いている時間帯のいわゆる「ザラ場」で株価が上昇するようなニュースが発表され、株価を問わず、いますぐ買いたい、もしくは売りたいという注文が殺到するときにも表示されます。
どんな感じか見たいという方は、この後にみていく「特別気配の板情報」でも取り上げますが、午前8時から午前9時の間に板情報をみると、多くの銘柄で成行の部分に数量が入っているので、時間がある時にでもご自身で確認してみましょう。
了解ニャン。
注文を出したときの板情報の例と注文時のルール
では、だいたい板の見方も分かってきたと思いますが、自分が注文を出したときにどう板情報が変化するのかもみてみましょう。
スモーク君なら先の板情報であれば、いくらで指値を設定して購入したいですか?
そうだニャン・・・。528円には誰もいないから、528円で100株注文したいニャン。
なるほど。では試しに528円で100株注文した時の板をみてみましょう(図3)。
図3:528円で100株買いの指値注文を出したときの板情報
528円に100という数字が出てきたニャン。さらにさっきまで表示されていた520円の表示がなくなり、UNDERがその分増えたニャン。
その通りですね。スモーク君の言う通り、528円の100という数字がスモーク君が出した注文です。あとは528円で売ってくれる人が現れるのを待つだけで、もしその値で売る注文が出されると、それで売買が成立し、希望通り、528円で100株購入となります。
少しずつ分かってきたニャン。
ちなみに売買が成立することを株用語では「約定(やくじょう)」といいます。この言葉は当講座でも頻繁に使用していくので覚えておきましょう。
覚えておくニャン。
では、次に528円の100株の買い注文を取り消しにし、やはり527円で100株購入したいという注文を出したときの板情報の変化もみてみましょう(図4)。
図4:528円で100株買いの指値注文を出したときの板情報
528円の100株がなくなり、527円の1,100が1,200に増えたニャン。また、520円の2,200が復活し、その分UNDERが減ったニャン。
その通りですね。今は「買い注文」の視点で見ましたが、これは「売り注文」の際も同様です。
あと、注文のルールとしては、先に注文を出した人から優先的に売買がされていきます。
今の例でいうと、527円に100株の買い注文を出しましたが、527円の中で買うことができる順番は一番最後という状況です。
そのため、先に注文を出している人たちよりも早く買いたい場合には、図3のように528円で注文を出す必要があります。
なるほどニャン。
特別気配の板情報
では、次に特別気配の板情報についても学んでいきましょう。
特別気配とはどういうことニャン?
「特別気配」とは買い注文あるいは売り注文が殺到し、直前の株価と大きく乖離して約定されそうなときに現れる気配の値段です。
ちなみに買いによる特別気配は「特別買い気配(略して特買い)」、売りによる特別気配は「特別売り気配(略して特売り)」と呼ばれています。
言葉だけでは分かりにくいので、それを表した下記の図5をご覧ください。
図5:特別気配の板情報
売り板にも買い板にも2,929円のところに数量があり、買い板の方にはSというアルファベットが入っているニャン。また、成行のところにも数量が入っているニャン!
そうですね。ちなみにアルファベットの「S」は証券会社によって異なり、「特」の場合もあります。
なお、この板情報は2014年11月12日午前9時12分時点のファーマフーズという会社の板情報を基に作成していますが、成行のところを見ても分かるように値段を問わずに買おうとする注文が殺到しています。
この板にある2,929円は暫定の価格である気配値であり、寄り付いたわけではありません。ちなみに、このあとも気配値は上昇し、結局この日の始値(寄付)は3,170円でした。
そうなると、この時点で2,929円で指値の注文を出しても買えないということニャン?
その通りですね。もし、朝一の寄付で購入した場合には「成行」で買うしかないです。ただ、高い価格で寄付いた場合は、その後に下落することも多々あるので、ここで飛びついて買うのは危険です。
ちなみにこの日のファーマフーズは3,170円で始まった後に3,180円にまでわずかに上昇したものの、その後、一時2,450円まで下落し、結局、終値は2,710円でした。
なお、この日に記録した3,180円(その後に2分割しているので現在の基準では1,590円)は、現在もファーマフーズの上場来高値(上場して以降に記録した一番高い株価)であり、もし成行で3,170円で買ってしまっていたら、6年近く経った今でも損を抱えた含み損の状態になっていたという可能性もありますね。
それは大変ニャン。そうなるとやはりむやみに飛びつくのは危険ということになるニャン。
そうですね。特に高値で買ってしまうと何年も損を抱えてしまい、株に対するイメージもネガティブなものとなり、精神的にもよくないので、確実にいきたいのであれば、こういう時には基本的に手を出さないのが無難です。
銘柄は前にも学んだように、東証だけでも3,700社以上あるので、一つにこだわる必要はありません。
よく分かったニャン。
ストップ高(ストップ安)の板情報
では最後に特別気配のまま、値がつかずに上限(下限)まで達するときの板情報をみていきます。
株式には一日で株価が暴騰・暴落することを防ぐために値幅制限というものが設定されています。
なるほどニャン。
一日の上昇が値幅制限の上限に達することを「ストップ高」、一日の下落が値幅制限の下限にまで達することを「ストップ安」といいます。
ストップ高やストップ安という言葉はなんとなく聞いたことがあるニャン。
では、まずは以下の図6をご覧ください。
図6:特別気配(特売り)の板情報
売りが殺到しているニャン。どういうことニャン?
この板情報は2015円1月29日午前9時2分時点でのスカイマークの板情報です。実はスカイマークはその前日に民事再生手続き開始の申し立てと、株式が上場廃止になる見込みであることを発表していました。
それで売りが殺到しているんだニャン。
その通りですね。ちなみにこの日は結局、ザラ場では値がつかず、ストップ安の気配値のまま終了となりましたが、その時の板情報が以下の図7になります。
図7:ストップ安状態の板情報
これは237円が制限ということかニャン?
その通りです。スカイマークは前日の終値が317円であったため、この日の値幅制限は80円であり、下限は237円でした。
なお、値幅制限については株価によってその値幅が異なり、株価が大きくなるとその分、値幅制限の幅も広がっていきます。
なるほどニャン。
ちなみにこの時は、この状況でも最終的に買いたい人がわずかながらにいたため、237円で55,300株の取引が成立しています。
なんとなく理解できたニャン。
それでは、今回は盛沢山の内容でしたが、これで以上となります。質問はありませんか。
板情報の見方は少し分かってきたので、あとは実際の画面でも確認してみるニャン。
そうですね。実際に取引しなくても、板情報をみることは可能です。とりあえずは好きな企業でもよいので、実際に動いている板情報を見て、理解を深めていきましょう。それでは本日はお疲れ様でした。
了解ニャン。お疲れ様でしたニャン。